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遺伝子組み換え技術

私達は昔から、食料を効率よく確報するために自然界に存在するいろいろな植物、動物を交配などによって改良してきました。日常の生活で食べている米、野菜、肉などほとんどのものは、このような交配などによって作られたものです。私たちは非常に古い時代から、交配という技術を用いて人為的に遺伝子を組み換え、有用な農作物などを作ってきたわけですが、遺伝子組み換え技術は、これを遺伝子に直接はたらきかけることで実現しようというものです。
遺伝子組み換え技術とは
生物の身体は、細胞から出来ています。細胞の中には核があって、その内部に染色体があります。染色体は、DNA(デオキシリボ核酸)という物質で出来ています。糖とリン酸の長い二本の鎖がらせん状にからまっていて、その間を4種類の塩基がはしご段のようにつながっています。この塩基の並び方によって遺伝情報が決まり、生物の体を構成するタンパク質が合成されます。生物学の研究により、いろいろな生物について、DNAの塩基の配列とその機能がわかってきました。このため、ある生物の細胞から有用な遺伝子を取り出し、他の生物の細胞に入れることによって、農産物等の改良を行うことが出来るようになりました。これを遺伝子組み換え技術といいます。
遺伝子組み換え技術の注目ポイント
遺伝子組み換え技術が優れている点は、いくつかあります。
第一は、従来の交配では、全ての遺伝子が係ってきますので、目的とする形質にかかわる遺伝子以外に何の遺伝子が導入されたのかわかりません。遺伝子組み換え技術では目的とする有用遺伝子のみが付け加えられることになります。したがって、育種が正確に行われることになります。
第二は、従来交配が難しかった作物等の間でも、有用遺伝子を取り出して付加することが可能となり、農産物などの改良範囲が広がったことです。
第三は、作物の育種期間が短縮されることです。従来の交配・選抜による方法では、新しい作物を育種するのに10年以上かかるといわれています。しかし、遺伝子組み換え技術を用いれば、有用遺伝子さえ見つかれば、比較的短い期間で新品種を作ることが出来ます。
進展する遺伝子組み換え技術
現在、実用化されている害虫抵抗性や除草剤抵抗性のある だいず、ナタネなどは、農業生産者にとってメリットがあるものですが、農薬などの使用が少なくて済むことで、環境にやさしい農業が可能となります。また、農産物の安定生産によるコストの引き下げにつながり、消費者にもメリットになると思われます。
現在の時点では実用化には至っていませんが、アトピー性皮膚炎などのアレルギーを引き起こすタンパク質を少なくした低アレルゲン米や、完熟トマトのおいしさを味わって頂ける日持ちの良いトマト、飽和脂肪酸の量を少なくし、動脈硬化等の循環器疾患を予防できるとされる だいず等の研究も、わが国で進められています。
このほかにも、でんぷん質が多いが水分が少なく、フライにする場合に油が少なくて済むジャガイモ、ビタミンAのもとになるカロチンの含有量の多い、健康志向のトマトなども研究・開発中です。これらが実用化すれば、消費者にも直接大きなメリットをもたらすと思われます。
遺伝子組み換え技術と食品に対する消費者の理解
しかし、遺伝子組み換え技術とその技術を応用した農産物について、不安を感じている消費者もいます。その背景には、
1. 食生活は、本来保守的なところがあり新規のものに拒絶感があること。
2. 現在流通しているものは、農業生産者には、メリットがあるが、消費者に直接
メリットがあるものではないこと。
3. 現代の科学技術および科学技術行政に対する不信。
4. 自然と考えているものについて人為的操作が行われることへの倫理的抵抗感。
5. 特定企業などが農業や食料を支配することにならないかという不安。
6. 外国のものであること。
などがあるように思われます。
この問題については、単に表示だけでなく国民の間で幅広い議論が行われ、これを通じてこの問題についての理解が進むことが必要です。