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有効成分 シモキサニル と ファモキサドンの作用機作


シモキサニル
シモキサニルはシアノアセトアミド系の殺菌剤です。核酸(DNA、RNA)やアミノ酸、脂質の合成を阻害するほか、呼吸系代謝機構に対しても影響を及ぼすことが確認されています。このような多岐にわたる作用機作は本剤独特のものであり、その全体像は完全には解明されていませんが、他のいかなる既存薬剤とも異なるものです。病原菌の生活史の中では、主として胞子の形成および菌糸伸長に対して強い阻害作用を示します。また、シモキサニルはこのような直接的な阻害作用だけではなく、植物の自己防衛反応を誘発することが近年報告されており【図1】、侵入した菌糸から植物体を総合的に保護します。
【図1】
【シモキサニルが誘発する自己防衛反応】
供試植物 ばれいしょ
供試菌 ばれいしょ疫病菌(Phytophthora infestans

ファモキサドン
ファモキサドンはオキサゾリジンジオン系の殺菌剤です。病原菌のミトコンドリア内の電子伝達系を阻害することにより殺菌作用を示します。これはチトクロームbおよびチトクロームcの間の電子伝達経路を遮断することにより、ADPからATPへの酸化的リン酸化を抑制し、病原菌の細胞全体に必要なエネルギーが生産されなくなることに由来します。病原菌の生活史の中では、放出された遊走子に対する影響が最も大きく、遊走子の放出を強力に阻害するとともに【図2】、放出された遊走子に対しても強い作用を示し、本剤が遊走子に接触すると遊走子は直ちに活動を停止し、そして崩壊します【図3】。また、胞子の発芽および菌糸の伸長に対しても一定の阻害作用を示します。
【図2】
【ファモキサドンの遊走子放出に対する阻害作用】
無処理
ほとんどの遊走子が放出し、空になった遊走子のうが多く残っている。
ファモキサドン0.05ppm
空になった遊走子のうも少しあるが、多くの遊走子のうが放出することなく活動を停止している。
ファモキサドン1.0ppm
空になった遊走子のうはなく、すべての遊走子のうが活動を停止している。
【図3】
【ファモキサドン放出直後の遊走子に対する影響】
供試菌:ぶどう・べと病菌(Plasmopara viticola
ファモキサドン5ppm処理
放出直後
ファモキサドン5ppm処理
放出5秒後
※ファモキサドンは遊走子を短時間のうちに崩壊させる。