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スイートコーン(とうもろこし)

来歴
スイートコーンはとうもろこしの中の甘味種に属するイネ科の植物です。原産地はメキシコ南米で、紀元前7000年頃には穂軸が小麦の穂ほどのものを栽培していたということです。その後マヤ・インカ人によって改良され、それまで焼畑農業で放浪していた人達が部落を作って定住し、とうもろこし畑を栽培するようになり、あの有名なマヤ・インカ帝国の基礎を作りました。そしてヨーロッパへはコロンブスが粉や飼料用にしているのを見て持ち帰り、そこから世界各地に広まりました。
日本では、天正年間(1573〜1592年)にポルトガル人によって長崎に入りましたが、甘味の少ないフリント種でした。スイートコーンとしては明治37年、ゴールデンバンタム種が導入されてからです。本格的には終戦後の昭和24年、アメリカからゴールデンクロスバンタムが導入されてからです。そして現在の主力品種はスーパースイート(強甘味種)と呼ばれる。従来の品種よりも2倍も甘味の強い品種で、イエロー種とバイカラー種が主体です。
スイートコーンの栄養
スイートコーンは高カロリーの食べ物で、糖質を多く含んでいます。その他、カリウム、ビタミンA、B2、C、リン等を少しずつ含んでいますので、主食というより栄養バランスの取れた「おやつ」として利用されます。
甘味種(SU)・・・スイート
スイートコーンの中で一番早く出来た種類で、デントコーン等に比べてでんぷん質が少ないので種子にしわがあります。糖分の主成分はシュクロースです。クリーミーなさわやかな甘さです。
高甘味種(SE)・・・ウルトラスイート
SUをより高品質にした品種です。糖の主成分はマルトースでシュクロースの味とは違った風味です。粒皮が柔らかく、黄色が淡くなります。生食ができます。
強甘味種(SH2)・・・スーパースイート
現在最も利用されている品種です。胚乳内のでんぷん質がSUよりまだ少ないので、種子はうすく、しわがあります。発芽はSUに比べて劣ります。糖の成分はシュクロースで、甘味はSUの2倍です。
栽培品種についての注意
強甘味種(SH2)を栽培する時
@ 近くに甘味種(SU)や高甘味種(SE)、デントコーン、ポップコーンなど遺伝子の異なる品種があると、交雑して品質が低下します(キセニアの発生、甘味のない固い粒が混じります)ので隔離栽培が必要です。
A 同じSH2でもバイカラー種とイエロー種が交雑するとバイカラー種の白粒割合が少なくなることがあります。糖度については変化ありません。
その他
スイートコーンの雌穂の絹糸の一本一本が全て穂の中の粒につながっています。この絹糸が傷んだり、花粉がつかなかったりすると歯が抜けたようなスイートコーンが出来てしまいます。栽植密度や絹糸発生期の潅水には十分注意が必要です。
栽培のワンポイント
スイートコーンの発芽不良はなぜ起こる?
スイートコーンが発芽しないのは播種時期が早く地温が低いためです。
発芽の為の土壌の最適温度範囲は20〜28℃で10℃以下では発芽しません。発芽に必要な積算温度目安は約180℃で平均地温が20℃の場合発芽に9日間要します。
水をやりすぎ温度が下がり、発芽までに雑菌に侵され、腐敗し発芽しなくなります。
1gの種子粒数は約2,900粒です。(注:品種によって差があります)
スイートコーンの分けつと2穂目の処理
収穫
スイートコーンのおいしい時期はほんの3〜4日間ですから、適期収穫を心掛けます。
収穫適期は絹糸が出始めてから21〜25日後です。
高温期は収穫後急速に糖度が低下しますので、気温の低い朝のうちに収穫をすませ、立てた状態で冷蔵庫に入れるとよいでしょう。
たくさんとれた場合は、すぐに皮をむいて熱湯にくぐらせてからラップに包み、冷凍しておけば甘味が強いまま保存できます。