農薬情報

平成15農薬年度の農薬の出荷状況

平成15農薬年度(H14/10/1〜H15/9/30)における農薬出荷概況
使用分野別 前年度増減
種別 前年度増減
剤型別動向
平成11年度を基準として過去5年間の推移
月別前年比本年度推移
病害虫の発生予察情報
本年度の特徴
殺虫剤
殺菌剤
混合剤
除草剤
分類なし(植調剤、殺そ剤など)
H15農薬年度における農薬出荷概況
 冬期は、冬型の気圧配置が強まったり弱まったりと、気温が周期的に大きく変化した。春先は、冬型の気圧配置が優勢で低温の時期があったが、後半は、南風の吹込みにより気温の高い日が多く、特に4月、5月は全国的に高温となった。
 梅雨入りは全国的に平年より遅れ、梅雨明けは、沖縄、  が平年並みであったが、その他の地域では9日から14日遅くなり、東北地域では梅雨明けが特定されなかった。
 夏期間は、8月上旬と下旬に太平洋高気圧が強まり、一部地域で晴れる日があった他は、低温、日照不足が続いた。8月上旬後半には台風10号が日本を縦断する形で北上し、各地で大雨、強風となった。このため、北日本及び東日本を中心に、水稲の不稔、登熟不良、及びいもち病などの被害が発生した。
 9月に入り、東日本では晴れて暑い日が続いたが、北日本では前線や低気圧の影響で曇りや雨の日が多かった。9月中旬から下旬にかけて、台風14号と15号により各地で大雨や強風となった。9月下旬には寒気が南下したため、低温の時期があった。
 病害虫の発生は、最近の暖冬傾向が見られなかった為、平年並みに推移した。梅雨明け以降の低温、日照不足を受け、いもち病の発生が多かった。ウンカ類は近年では多飛来となった。飛来のほとんどはセジロウンカで、トビイロウンカの飛来は少なかった。コブノメイガの飛来が、7月中下旬に、四国、近畿で多量に確認された。斑点米カメムシ類はここ数年の発生量には至らなかった。果樹カメムシ類は低温のため、越冬量は全国的には少なかったが、東海、関東では発生が多く見られた。大豆のハスモンヨトウが9月以降、西日本を中心に多く見られた。
水稲の作柄は全国平均で作況指数90の「著しい不良」となり、収穫量は7,781千トンが見込まれ、前年に比べて1,095千トン程度減少している。作付け面積は23千ha減少し、1,660千haとなった。
 このような状況の中で、本年度の農薬出荷実績は数量で250千トン(前年比96.9%)、金額では3,235億円(前年比96.5%)となり、数量、金額ともに、やや減少した。
使用分野別 前年度増減
水稲の数量が、わずかに増加した他は、数量、金額ともに全て減少した。特に、野菜畑作の減少が大きい。また、水稲の数量増加はいもち剤の出荷増による。
使用分野 数量(千トン) 金額(億円)
実績 前年比 比率 実績 前年比 比率
水稲 115 1 100.6 1,197 -17 98.6
果樹 26 -2 92.7 567 -19 96.8
野菜畑作 83 -5 93.8 1,038 -78 93.0
その他 18 - 97.7 324 -1 99.6
分類なし 8 -1 91.1 110 -3 97.7
合計 250 -8 96.9 3,235 -117 96.5
種別 前年度増減
殺菌剤の数量、除草剤の数量、金額がわずかに増加した他は、すべて減少した。水稲のいもち剤、水稲の初期除草剤、果樹の除草剤が増加に貢献した。
種別 数量(千トン) 金額(億円)
実績 前年比 比率 実績 前年比 比率
殺虫剤 89 -7 93.1 978 -70 93.3
殺菌剤 58 - 100.4 812 -42 95.1
混合剤 30 -2 93.9 319 -15 95.8
除草剤 64 1 101.6 1,016 12 101.2
植調他 8 -1 91.1 110 -3 97.7
合計 250 -8 96.9 3,235 -117 96.5
剤型別動向
粉剤・DLの数量、金額、乳・液剤の金額が増加した他は、すべて減少した。粉剤・DLの増加は、いもち剤が、乳・液剤の金額の増加は、除草剤が影響している。
種別 数量(千トン) 金額(億円)
実績 前年比 比率 実績 前年比 比率
粉剤・DL 59 2 103.4 195 3 101.6
粒剤 111 -4 96.7 964 -27 97.3
水和・水溶 18 -3 85.4 624 -87 87.8
ゾル・フロアブル 9 - 97.2 464 -5 98.8
乳・液剤 33 - 99.1 756 13 101.8
その他 19 -3 87.1 233 -14 94.3
合計 250 -8 96.9 3,235 -117 96.5
平成11年度を基準として過去5年間の推移
全体的に、数量では減少傾向にあり、金額では13年度まではほぼ横這い傾向で推移したが、14年度より減少に転じた。水稲での1キロ剤、ジャンボ剤などによる軽量化、箱処理用混合剤の普及による本田散布剤の減少などが、数量の減少に影響している。近年の食用農産物の安全性への関心の高まりによる使用回数の減少、流通段階での経営健全化を目的とした在庫圧縮、また、本年については、適用外使用の罰則法制化、トレーサビリティの厳格化などの複合要因が、金額、数量の減少に影響している。
数量(千トン)
区分 平成11年 平成12年 平成13年 平成14年 平成15年
実績 実績 実績 実績 実績
水稲 136 100 141 104 129 95 114 84 115 85
果樹 30 100 30 100 30 100 28 93 26 87
野菜畑作 94 100 94 100 91 97 89 95 83 88
その他 22 100 21 95 20 91 18 82 18 82
分類なし 9 100 9 100 9 100 9 100 8 89
合計 292 100 296 101 280 96 258 88 250 86
金額(億円)
区分 平成11年 平成12年 平成13年 平成14年 平成15年
実績 実績 実績 実績 実績
水稲 1,246 100 1,306 105 1,277 102 1,214 97 1,197 96
果樹 608 100 642 106 645 106 585 96 567 93
野菜畑作 1,128 100 1,169 104 1,151 102 1,115 99 1,038 92
その他 432 100 396 92 387 90 325 75 324 75
分類なし 100 100 113 113 125 125 113 113 110 110
合計 3,522 100 3,629 103 3,584 102 3,352 95 3,235 92
月別前年比本年度推移
区分 10-12 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月
数量% 単月 97.5 90.5 96.3 97.8 95.1 96.0 100.9 99.3 103.5 103.9
累計 97.5 95.1 95.5 95.9 95.8 95.4 95.7 96.0 96.5 96.9
金額% 単月 99.6 89.5 102.3 98.9 96.2 90.3 99.1 97.5 102.7 98.1
累計 99.6 95.9 98.0 97.4 97.4 96.1 96.3 96.2 96.5 96.5
数量は単月で6月、8月、9月に前年を上回ったが、累計では年初より前年を下回って推移した。8月、9月の増加は、いもち剤の出荷増による。
金額は単月で2月と8月に前年を上回ったが、累計では年初より前年を下回って推移した。8月の増加は、数量と同様に、いもち剤の出荷増による。
病害虫の発生予察情報
警報
水稲斑点カメムシ類 1件
いもち病 5件
主な注意報
水稲いもち病 34件(26県)
果樹のカメムシ類 8件
麦類赤かび病 12件
水稲斑点米カメムシ類 18件(15県)
水稲コブノメイガ 11件
大豆ハスモンヨトウ 11件
野菜・花卉ハスモンヨトウ 11件
本年度の特徴
本年は、低温、日照不足により、いもち病の発生が多く見られた。警報が5件、注意報が34件発表された。しかし、いもち病が大発生した93年の警報31件、注意報73件と比較すると、本年は全国的な大発生とはならなかった。箱処理剤の普及、穂いもち防除の実施、あるいは実施の指導が徹底されたこと等が大発生とならなかった原因の一つと考えられる。
水稲一発処理除草剤ではジャンボ剤が増加し、顆粒が横這いのほかは、すべて減少した。
箱処理剤は前年まで増加を続けていた混合剤が、減少した一方、減少傾向にあった単剤が増加した。普及率は増加を維持している。
平成15年度水稲・一発処理除草剤・剤型別概算
区分 数量 金額 防除面積換算 面積シェア%
H14 H15 H14 H15 H14 H15 H14 H15
1キロ剤 7,201 6,959 96.6 15,304 14,805 96.7 720 696 96.6 41 41
フロアブル剤 2,495 2,228 89.3 11,099 9,942 89.6 477 424 89.0 27 25
ジャンボ剤 902 948 105.1 5,142 5,539 107.7 227 243 107.1 13 14
顆粒剤 19 20 104.2 684 684 100.0 33 32 96.7 2 2
3キロ剤 8,990 8,962 99.7 6,423 6,380 99.3 300 299 99.7 17 18
その他製剤 20 19 92.3 147 155 105.5 7 7 103.3 - -
合計 19,628 19,136 97.5 38,800 37,504 96.7 1,763 1,701 96.5 100 100
単位:t、kl・百万円・千ha 率:前年比%
箱処理剤出荷実績面積概算
区分 H10年 H11年 H12年 H13年 H14年 H15年
殺虫剤 583 482 427 391 363 366
殺菌剤 42 27 24 21 16 19
混合剤 323 528 648 655 676 674
948 1,037 1,099 1,067 1,056 1,058
水稲作付面積 1,793 1,780 1,763 1,700 1,683 1,660
率% 52.9 58.3 62.3 62.3 62.7 63.7
単位:千ha
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殺虫剤
 全体としては、数量89千トン(前年比-7千トン、93.1%)、金額978億円(前年比-70億円、93.3%)と数量、金額ともにかなり減少した。
 使用分野別に見ると、水稲では数量29千トン(前年比-1千トン、98.1%)、金額159億円(前年比-1億円、99.1%)と数量、金額ともわずかに減少した。
 果樹では数量12千トン(前年比-1千トン、92.4%)、金額260億円(前年比-12億円、95.6%)と数量でかなり、金額でやや減少した。用途別で見ると、ダニ剤が数量でかなり、金額でやや減少し、マシン油剤も数量、金額ともにかなり減少した。
 野菜・畑作では、数量43千トン(前年比-4千トン、90.6%)、金額495億円(前年比-60億円、99.1%)と数量、金額ともにかなり減少した。用途別で見ると、殺虫剤が数量でかなり、金額では大幅に減少した。
 その他では、数量5千トン(前年比-1千トン、88.8%)、金額64億円(前年比+4億円、106.4%)と数量はかなり減少したが、金額ではかなり増加した。
区分 平成11年 平成12年 平成13年 平成14年 平成15年
数量 金額 数量 金額 数量 金額 数量 金額 数量 金額
水稲 35 192 40 202 37 188 30 161 29 159
果樹 14 259 13 273 13 270 13 272 12 260
野菜畑作 50 556 50 577 49 558 48 555 43 495
その他 6 76 6 71 6 72 5 60 5 64
合計 105 1,084 110 1,123 105 1,088 95 1,048 89 978
%(H11=100) 100 100 104.8 103.6 100.0 100.4 90.5 96.7 84.8 90.2
数量:千トン、金額:億円
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殺菌剤
 全体としては、数量58千トン(前年+0.2千トン、100.4%)、金額812億円(前年比-42億円、95.1%)と数量はわずかに増加したが、金額ではやや減少した。
 使用分野別で見ると、水稲では、数量21千トン(前年比+2千トン、109.9%)、金額192億円(前年比-7億円、96.5%)と数量はかなり増加し、金額ではやや減少した。
 水稲用途別では、いもち剤(前年比+2千トン、118.2%、+3億円、103.2%)は、数量は大幅に、金額ではやや増加した。いもち・もんがれ剤(前年比-0.2千トン、87.0%、-1億円、92.3%)は、数量、金額ともにかなり減少した。もんがれ剤(前年比-0.3千トン、82.1%、-3億円、80.5%)は数量、金額ともに大幅に減少した。いもち剤の数量の増加は、冷夏によりいもち警報・注意報が各地で発令された為、6月以降での出荷増に繋がった結果であると考えられる。
 果樹では、数量9千トン(前年比-2千トン、83.6%)、金額208億円(前年比-19億円、91.8%)と数量は大幅に、金額ではかなり減少した。
 野菜・畑作では、数量27千トン(前年比+0千トン、100.1%)、金額351億円(前年比-17億円、95.3%)と数量はわずかに増加したが、金額ではやや減少した。
 その他では、数量1千トン(前年比-0千トン、99.8%)、金額60億円(前年比+1億円、101.4%)と数量はわずかに減少したが、金額ではわずかに増加した。
区分 平成11年 平成12年 平成13年 平成14年 平成15年
数量 金額 数量 金額 数量 金額 数量 金額 数量 金額
水稲 30 258 26 240 21 211 19 199 21 192
果樹 12 242 12 246 12 254 11 227 9 208
野菜畑作 30 396 29 393 28 392 27 368 27 351
その他 1 49 1 61 1 63 1 60 1 60
合計 74 948 68 940 62 920 58 854 58 812
%(H11=100) 100 100 91.9 99.2 83.8 97.0 78.4 90.1 78.4 85.7
数量:千トン、金額:億円
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混合剤
 全体としては、数量30千トン(前年比-2千トン、93.9%)、金額319億円(前年比-15億円、95.6%)と数量はかなり、金額ではやや減少した。
 水稲分野の用途別に見ると、いもち+虫剤(前年比-1千トン、93.9%、-9億円、96.3%)は数量はかなり、金額ではやや減少した。もんがれ+虫剤(前年比+0.2千トン、111.8%、+1億円、111.4%)は数量・金額ともにかなり増加した。いもちもんがれ+虫剤(前年比-1千トン、91.1%、-4億円、92.2%)は、数量、金額ともにかなり減少した。
区分 平成11年 平成12年 平成13年 平成14年 平成15年
数量 金額 数量 金額 数量 金額 数量 金額 数量 金額
水稲 35 298 39 345 35 329 31 319 29 307
果樹 - 1 - 1 - 1 - 1 - 1
野菜畑作 1 6 1 6 1 7 2 9 1 6
その他 - 6 - 5 - 5 - 4 - 4
合計 37 311 40 357 36 342 32 333 30 319
%(H11=100) 100 100 108.1 114.8 97.3 110.0 86.5 107.1 81.1
102.6
数量:千トン、金額:億円
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除草剤
 全体としては、数量64千トン(前年比+1千トン、101.6%)、金額1,016億円(前年比+12億円、101.2%)と数量、金額ともにわずかに増加した。
 使用分野別に見ると、水稲は数量36千トン(前年比+1千トン、103.1%)、金額539億円(前年比+4億円、100.7%)と数量はやや、金額ではわずかに増加した。
 用途別では、初期剤(前年比+1千トン、128.7%、+9億円、116.4%)、中期剤(前年比+1千トン、108.7%、+4億円、108.5%)、後期剤(前年比-0.4千トン、77.2%、-1億円、95.3%)一発処理剤(前年比-0.5千トン、97.5%、-13億円、96.7%)と、初期剤は、数量、金額ともに大幅に増加し、中期剤も数量、金額ともにかなり増加したが、後期剤、一発処理剤は数量、金額ともに減少した。
 果樹では、数量5千トン(前年比+1千トン、115.8%)、金額98億円(前年比+12億円、113.9%)と数量、金額ともにかなり増加した。
 野菜・畑作では、数量12千トン(前年比-1千トン、94.0%)、金額185億円(前年比+2億円、101.1%)と数量はかなり減少し、金額ではわずかに増加した。
 その他、非農耕地は、数量11千トン(前年比+0千トン、100.4%)、金額195億円(前年比-6億円、97.0%)と、数量はわずかに増加し、金額ではやや減少した。
区分 平成11年 平成12年 平成13年 平成14年 平成15年
数量 金額 数量 金額 数量 金額 数量 金額 数量 金額
水稲 35 495 36 522 37 548 35 535 36 539
果樹 5 105 5 123 5 120 4 86 5 98
野菜畑作 12 170 14 194 13 194 13 183 12 185
その他 15 300 13 259 13 247 11 201 11 195
合計 67 1,071 68 1,097 68 1,109 63 1,005 64 1,016
%(H11=100) 100 100 101.5 102.4 101.5 103.5 94.0 93.8 95.5 94.9
数量:千トン、金額:億円
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分類なし(植調剤、殺そ剤など)
数量8千トン(前年比-1トン、91.1%)、金額110億円(前年比-3億円、97.7%)と数量はかなり、金額ではわずかに減少した。
資料提供 :農薬工業会(平成15年11月10日)
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