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平成14年度 病害虫発生状況と来年の対策
茶 樹 病 害
| 平成14年11月25日 「新農林技術新聞」 |
| 野菜茶業研究所茶業研究部病害研究室長 秋田
滋 |
| 輪斑病の発生が増加へ |
DIM剤以外の保護系殺菌剤組込みも、新造成茶園は土壌pHの管理必要
平成14年の冬期前半は冬らしくなったが後半は雨の多い傾向で、温暖で、低温期に発生する赤焼病及び灰色かび病とも発生は少なかった。今年の夏は、三番茶芽生育期に雨が少なかったため炭そ病の発生は少なかった。病害相談は、幼木園での赤焼病、輪斑病、髪の毛病であった。
炭そ病防除では治療系のDMI剤の普及と7月下旬から8月上旬の小雨のためか防除相談はあまりなかった。治療系DMI剤の普及とともに輪斑病の発生が増加しているようである。この原因としてDMI剤が輪斑病に効果がないため、輪斑病の潜在的な発生能力を抑えきれなくなったのではないかと思われる。DMI剤以外の保護系殺菌剤も組み込む必要がある。
近年、やぶきた茶園の老杤化による改植、規模拡大による新植などが盛んに行われ、これに併せて病害診断が増加してきている。挿し木床での根の生育不良、幼木園での生育不良である。挿し木床および幼木での根部病害としては苗根腐病、白紋羽病などがある。
苗床、幼木園での根の障害は土壌pH、排水不良などが主な原因となることが多く、また、衰弱した根に二次的に病原性の弱い土壌病原菌が増殖して障害を起こすこともある。生理的原因による障害は病原菌が主因となって起こる障害と紛らわしいことがある。挿し木床での土壌pHが高くなると根に障害を起こす。根の障害が少なくても地上部の生育が停止してしまうこともある。このような障害を起こさないようにするため、挿し木床に使用する土は事前に土壌pHを調べ、高くならないように管理する必要がある。
新しく造成する茶園では、開墾時に表土と深層土が偏ったりして、茶園の土壌pHが偏在していることがある。土層が偏在している茶園では園内数か所から土壌を採取し、土壌pHを調べ、部分的に土壌pHの管理を行う必要がある。茶園造成時に重機により踏み固められたり、沢筋を埋め戻したりした茶園では、部分的に排水不良となる場合があるので、排水対策を立てておく必要がある。老杤化茶園を改植する場合は、表層土の土壌pHも極端に低下している場合があるので、適正な所まで矯正してから、苗を定植する必要がある。 |
- 苗根腐病・・・挿し木床には土壌消毒の土を用いpHに注意
挿し木苗の細根が軟化腐敗し、被害を受けると生育が不良となる。病原菌としてピシュウム菌、シリンドロクラデュウム菌があげられているが、リゾクトニア菌なども分離されることがある。障害を起こした根から分離される病原菌は多くが弱病原性である。単独で根腐れを起こしにくく、排水不良や極端な土壌pHにより衰弱した根にとりつき、根腐れを起こすと思われる。
挿し木苗の根を水洗いすると、健全な挿し木苗では白色でみずみずしい根をしているが、生育不良苗では根の一部が褐変し、時には腐敗していることがある。挿し木床には土壌消毒した土を用い、土壌pHにも注意する。
老杤化茶園を改植した茶園では、排水不良や土壌pHが非常に低いことにより、幼木での根腐れによる活着不良や生育不良を引き起こす。
- 赤葉枯病・・・新芽の萌芽期〜開葉期初期に保護剤使用
赤葉枯病は茶園では常時発生しているが、成木園では問題となるほど発生しないので特に防除は行われていない。しかし、最近は改植および新植が盛んに行われるようになってから、幼木園で多発性が見られるようになった。
赤葉枯病の病徴は古葉では葉の縁から円形または不整形に病斑が拡大する。病斑の色は褐色から暗褐色、不規則な紋様や感染部位を中心に同心円上の病斑となる。若い葉では黒色小斑点状の病斑を形成する。
赤葉枯病菌の胞子は、適度な温度と水分があると葉面や茎上で容易に発芽し、付着器をつくり、菌糸は葉や茎の組織内に侵入する。しかし、健全な茶樹では、侵入した菌糸は、宿主組織内で増殖するが、侵入した部位でとどまり、病斑を形成することはない。生理的に衰弱した組織では感染するとほとんど潜伏期間なしに病斑をつくり、分生子を生産するようになる。赤葉枯病が発生する場合は、樹勢や生理活性が弱くなるなんらかの原因があるので、これらの原因を取り除くようにする。
排水不良茶園では改植時に暗渠を設けるなどして排水性を良くする。干ばつにより越夏のストレスが強い地域は多発生しやすいので、干ばつを受けやすい茶園では芽などでマルチを行う。発生が多い茶園では新芽の萌芽〜開葉期の初期に保護剤を使用し、開葉が進んでからは治療効果のある薬剤を用いる。雨が降り続いて、感染しやすい条件が続いたときは、治療効果のある薬剤を晴れ間を見て散布するようにする。
- 赤焼病・・・幼木園での発生は常発する傾向に
寒冷期に発生する赤焼病については、冬期間に茶園の見回りを行う農家が少ないため初冬の発生を見逃し、早春での多発生を招くことが多い。赤焼病は細菌によって生じる病害のため、発生を見てからではなかなか防除できないので注意が必要である。
赤焼病も毎年病害診断と防除相談にあがる病害で、幼木園での相談が多い。赤焼病は成木園では12月と翌年の2月から6月までの春季から初夏にかけて発生し、2月下旬から4月にかけて最も激しい発生となる。春の成木園で多発生すると一番茶芽も侵され、収穫できない状況になることもある。
挿し木床で6月にも発生する場合がある。この原因として赤焼病菌を保菌した一番茶枝を挿し穂として利用するためと思われる。
近年の研究成果から一番茶の枝に赤焼病菌が存在し、越夏することが確認されている。汚染された挿し穂を利用すると、挿し穂床での発生を免れても、汚染された茶苗を茶園に持ち込むこととなり、初冬から幼木園での多発生を招くこととなる。
幼木園での発生は成木園と異なり、常発的に発生する。6月まで病斑を形成した茶葉を認めることがある。幼木園で多発生すると激しい落葉を起こし成園化が遅れることがある。また、一番茶芽の基部が犯されると二番茶芽、三番茶芽生育後に一番茶枝の犯された部分から折れてしまうことがある。
最近は、幼木園で防除しないためか幼木園の茶樹での病害診断が多い。発生を確認してから散布する傾向があるが、細菌による病害は発病を確認してからでは効果が低い。銅剤の予防散布で十分に発生を防ぐことができるので、冬期から春先にかけての銅剤の予防散布は重要である。
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