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平成14年度 病害虫発生状況と来年の対策
果 樹 病 害
| 平成14年11月25日 「新農林技術新聞」 |
| 果樹研究所生産環境部病害研究室長 大津 善弘 |
| 全国的に病害は少発生 |
秋と休眠期の防除や春先の初感染時期前の薬剤散布を徹底
平成14年は暖冬が16年目を迎え、春は2月下旬から5月上旬まで高気温で推移した。このため、果樹の生育が7日から10日早く進んだ。6月11日に四国から東北まで梅雨入りし、以来10日ほどは曇雨天日が多く推移した。8月中旬後半の台風13号による関東南部を中心とした降雨、下旬後半の台風15号による西日本太平洋側を中心とした降雨があったが、東海近畿中国地方では7月中旬から少雨傾向であった。秋も全体的には少雨・多照傾向であった。
このような気象のもと、いくつかの被害の多発生が懸念されたが、全国的には病害の発生は低く抑えられた。予察情報で見ると、鹿児島県与論島でカンキツグリーニング病(4月9日)、福島でブドウ枝膨病(5月10日)のそれぞれ新たな発生が確認された。
発生注意報では、かんきつかいよう病(沖縄・8月1日)、りんごで腐らん病(岩手・5月13日)と斑点落葉病(秋田・7月17日)、なしで黒星病(佐賀・5月9日、福岡・5月14日)と黒斑病(福島・5月14日)、ぶどうで、べと病(大阪・5月10日)と晩腐病(福岡・5月20日)が発出された。
カンキツグリーニング病の媒介虫ミカンキジラミが屋久島まで北上したことが9月発表された。地球の温暖化が進む中で、本病の防除と北上警戒は急務となっている。
12年以来、春から夏にかけての好天・少雨に恵まれ、病害の発生は抑えられてきた。しかし、注意報は13年が3報、14年は8報と増加した。これは越冬伝染源が地域によって多くなってきたことを示している。
病害防除の基本の一つは病原の排除である。越冬伝染源を生じさせない秋の防除、休眠期の防除、春先の初感染時期前の薬剤散布は必ず実施したい。対象となる重要病害、基本的な防除対象を以下に述べる。 |
- かんきつ
- そうか病・・・
本病の感染は葉の長さ4mm以上で起こる。春葉に数個の病斑を作らせてしまうと、この羅病葉は翌年の春の伝染源となる病斑をもち越すことになる。毎年越冬病斑の見られる園では春芽の長さ3mmの時の薬剤散布を追加したい。
- かいよう病・・・
台風の強風雨を受けたところでは、夏秋枝に感染した菌が来春に病斑を作り、これが伝染源となる。剪定時の羅病枝、特に夏秋枝を剪除し、発芽前の薬剤散布を必ず行う。
- 黒点病・・・
剪定時に枯枝を剪除する。また、剪定枝を圃内に放置すると伝染源になるので、必ず焼却などの処分を行う。さらに梅雨前と秋雨前に枯れ枝や枯死した摘果枝を剪除し焼却処分する。
薬剤防除では、マンゼブやマンネ剤の場合は、積算降雨量200〜250mmの後に、有機銅剤の場合は150mmの後に次回の散布を行う。
- りんご
- 斑点落葉病・・・
落葉を集めて焼却する。また、病斑の多い徒長枝を剪除し焼却する。
薬剤防除は落花直後から始め、初期防除に努める。初発後に多発傾向が見られたときには、ポリオキシン剤やロブラール剤を基準薬剤に加用して散布する。
- 黒星病・・・
落葉を集めて焼却し、初期発病を集中的な薬剤散布で防除する。
- 腐らん病・・・
羅病被害部の丁寧な削り取りと薬剤の塗布を胞子角形成以前に徹底して行う。発生の多いところでは、発芽前と収穫後に薬剤散布する。白塗剤を塗布して凍害や日焼けを防ぐ。
- 炭そ病・・・
被害果を除去し、地中に埋める。近くにニセアカシア、シナノグルミやイタチハギがある場合、伐採できれば発病を軽減できる。降雨が続く場合は薬剤散布間隔を短めにする。他に褐斑病などにも注意を払いたい。いずれの病害に対しても、気温とりんごの生育を観察し、適期に防除する。特に初感染時期を逃がさない。
- なし
- 黒斑病・・・
剪定時に病斑とボケ芽の在る枝を除去し、切った枝は焼却する。残った枝、腐芽は3月末までに塗布剤を処理する。病芽は3月下旬に見回って切り取る。薬剤防除は出蕾期から始める。
- 黒星病・・・
落葉を集めて焼却する。1年生枝の剪定では先端部を長めに切除し、開花前までに基部発病花叢を切除する。切除した枝や花叢は焼却する。秋季防除と落葉処分が徹底されていて、前年の発生も極めて少ない園では、薬剤散布はなし開花直前から始める。
- 輪紋病・・・
休眠期に剪定できない枝のいぼ病斑を削り取ることや塗布剤によるいぼ病斑の封じ込めをする。薬剤防除は5月下旬から7月下旬が適期である。幸水果実の最終散布時期は収穫1ヶ月前頃(満開後95日頃)である。
- もも
- せん孔細菌病・・・
第一次伝染源は4〜5月に前年生枝に形成される紫褐色〜紫黒色の春型枝病斑に生ずる病原細菌である。芽や先端部が枯れ込んだ枝を剪定除去する。春型枝病斑を形成した枝は見つけ次第切除し焼却する。薬剤防除は開花直前、落花期から梅雨明け、秋期に行う。
- 灰星病・・・
病果と病枝の埋没処分が必要であるが、冬ではわかりにく。収穫期後に、見つけて処分しておく。常発地ではももの開花期初期に必ず薬剤散布して花腐れを防ぐ。収穫20日前に必ず薬剤散布する。
- ウメかいよう病・・・
休眠期の病枝剪定除去、焼却処分を行う。
- スモモふくろみ病・・・
休眠期の薬剤散布を散布むらのないように丁寧に行う。
- ぶどう
- べと病・・・
羅病落葉を除去・焼却する。薬剤防除は萌芽直後から始め、展葉初期〜梅雨期および秋期に予防散布を行う。開花期からは10日間隔で防除する。
- 晩腐病・・・
羅病結果母枝や巻ひげを除去し、生育初期防除を徹底する。果粒が大豆粒大になるまでの薬剤防除を徹底する。早めに傘かけや袋かけを行う。露地栽培で多発する園では雨よけ栽培に切り替えた方がよい。
- 黒とう病・・・
羅病結果母枝や巻ひげを除去する。薬剤防除時期は晩腐病に準ずる。
- 褐斑病・・・
落葉を処分し、休眠期防除を必ず行う。薬剤防除は落花期から袋掛期頃にかけての感染初期の防除に努める。
- さび病・・・
6月下旬〜7月頃に予防散布を行うが、葉裏んい丁寧に散布する。
- かき
- 炭そ病・・・
羅病枝を剪定・焼却する。主要感染期の5月中旬〜梅雨期までと秋雨期に重点的に薬剤を散布する。台風の前後に防除を徹底する。
- うどんこ病・・・
地表に落下した子のう殻を地中に埋めるために冬の間に中耕を行う。発芽前に石灰硫黄合剤を幹や枝に丁寧に散布する。5月の薬剤散布は効果が大きい。
- 角斑・円星落葉病・・・
来春の伝染源を減らすために落葉を集めて焼却する。また、感染時期の5月〜7月上旬に薬剤防除を必ず実施する。
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