| 平成14年11月25日 「新農林技術新聞」 |
| 中央農総研セ病害防除部糸状菌病害研究室長 小泉
信三 |
| 平年並みの作柄・・・一部地域でいもち病などの被害も |
9月27日、農林水産省総計情報部は9月15日現在の水稲の作柄情報を公表した。それによれば、平成14年の水稲の作付け面積は169万3千haで、前年に比べ1万8千ha減少した。また、作柄は全国平均で来年並からやや良、作況指数は101(平年並み)で、10a当たりの見込み収量は528kgである。
しかし、一部地域の作柄は、不良からやや不良と報告された。すなわち、北海道が8月上旬kら下旬の低温、寡照による登熟不良などのため作況指数94の不良、青森県、秋田県は7月から8月の低温、日照不足、福井県は日照不足など、鹿児島県は台風といもち病の発生などで作況指数98のやや不良となった。
本年の作柄は全般的には平年並からやや良で、際立った病害による影響もなかったと思われる。しかし、前述したように一部の地域では、低温や台風のほか、いもち病などの影響を受けた地域もあった。十分な情報は得られていないが、本稿では平成14年に発生した水稲病害と来年の対策について記述したい。 |
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| 13道県で注意報発表
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【いもち病】
| 道県 |
病害 |
発表月日 |
| 北海道 |
いもち病 |
7月18日 |
| 青森 |
葉いもち |
7月23日 |
| 福島 |
葉いもち |
7月12日 |
| 福井 |
葉いもち |
6月27日 |
| 福井 |
穂いもち |
7月19日 |
| 新潟 |
葉・穂いもち |
7月12日 |
| 長野 |
いもち病 |
7月17日 |
| 愛知 |
いもち病 |
7月16日 |
| 三重 |
葉・穂いもち |
7月2日 |
| 兵庫 |
穂いもち |
8月8日 |
| 鳥取 |
穂いもち |
7月17日 |
| 大分 |
いもち病 |
7月22日 |
| 宮城 |
葉いもち |
5月23日 |
| 宮城 |
穂いもち |
6月5日 |
| 宮城 |
葉いもち |
7月18日 |
| 宮城 |
穂いもち |
7月30日 |
| 鹿児島 |
穂いもち |
6月11日 |
右表に本年、各道県で発表されたいもち病に対する注意報を示した。本年は警報の発表はなかったが、13道県から延べ17件のいもち病に対する注意報が発表された。
北海道では7月18日にいもち病に対する注意報が発表された。北海道では6月下旬に低温傾向であったため、その初発生時期は早くなかったが、7月上旬から下旬にかけ感染好適条件が各地で出現したため、この発表となった。しかし、その後の病勢の進展は緩慢で、北海道病害虫防除所が公表した葉いもち、穂いもちの最終的な発生量は平年よりやや少となった。なお、この原因として7月下旬、8月中旬から下旬が低温であったことも一因となっているかもしれない。
東北地方では福島県で7月12日、青森県で7月23日にそれぞれ葉いもちに対する注意報が発令された。福島県の注意報は中通り地域で7月第1から第2半旬に全般発生時期に達した地域が多く、7月上旬に県内各地で感染好適条件が出現したことと、BLASTLで今後葉いもちの発生が急増すると予想されたこと等を考慮して発表された。しかし、福島県では7月下旬以降高温、少雨の条件が続いたため、本病は結果として少発生となった。
一方、青森県では初発生時期は6月下旬低温であったため、平年よりやや遅かったが、7月中旬に全県的に感染好適条件が出現したため注意報が発表された。
同県では8月上旬から下旬前半が低温であったため、太平洋側を中心に低温による不稔とともに、いもち病の多発生が見られた。
東北北部では全般的に6月下旬の低温のため、初発生がやや遅く、その後の葉いもちの進展も比較的緩慢で、一般的に上位葉への葉いもちの進展が比較的少なかった。本地域で8月上中旬降雨日が多く、低温・寡照の条件が続いたのにも関わらず、穂いもちの発生が比較的少なかったのは、上位葉への葉いもちの進展が比較的少なかったことが原因となっていたかもしれない。
北陸地方では新潟県で7月12日にいもち病、福井県では6月27日に葉いもち、7月19日に穂いもちの注意報が出された。
一方、東山・東海地方では三重県で7月2日に葉いもち、愛知県で7月16日、長野県で7月17日にいもち病の注意報がそれぞれ出された。福井県の注意報は見ていないが、いずれの注意報も7月上旬あるいは上中旬の感染好適条件の出現様相から発表されている。しかし、これらの地域では7月下旬以降高温少雨となったため、その後のいもち病の病勢進展は抑えられた。
近畿・中国地方では鳥取県で7月17日、兵庫県では8月8日にそれぞれ穂いもちの注意報が出された。これらは両県とも葉いもちの発生量が平年より多かったためである。しかし、両県ともその後高温となり穂いもちの発生は多くはならなかった。
一方、九州地方では5月上旬まで高温傾向であったため、5月上旬から本地方の山沿いの早期水稲地帯で葉いもちの発生が認められ、宮城県で早期水稲対象に5月23日に葉いもちの注意報、6月5日に穂いもちの注意報が発表された。また、鹿児島県でも同様に早期水稲で葉いもちの発生面積率が高かったため、6月11日に穂いもちの注意報が発表された。
九州地方は6月10日に梅雨入りし、その後感染好適条件が出現したことから、病勢が進展し、一部の地域ではいもち病が多発した。すなわち、宮城県では普通期水稲対象に7月18日に葉いもち、7月30日に穂いもちの注意報、大分県では7月22日にいもち病の注意報が発表された。また、熊本県、大分県の穂いもちの発生はやや多であった。
ところで、九州地方の一部では一部の育苗箱施用粒剤に対し、薬剤耐性菌が分布している。このため、本地方のこのような菌が分布している地域では、育苗箱施用剤使用に当っては充分留意する必要がある。 |
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| 紋枯病やや少発生、白葉枯病がやや多発 |
【その他の病害】
紋枯病の発生は平年並みからやや少のところが多く、本病による顕著な被害は見られなかった。しかし、本病が秋田、滋賀、鹿児島などのようにやや多の発生と報じているところもあった。
一方、台風などの影響もあり、白葉枯病がやや多発し、黄化萎縮病が発生した地域もあった。さらに、一部の地域では内頴褐変病が多発した。 |
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| いもち病の多発年も想定した防除体系を |
【次年度の対策】
いもち病に対する来年の対策としては羅病種子を次年度産種子として使用せず、被害わらや羅病籾を育苗ハウスに放置しないことなどが重要である。ただ、本病については近年、多発年といわれる年に遭遇していないため、防除がマンネリ化し、予防粒剤や育苗箱処理剤および航空散布に頼りきっている傾向がある。このような防除体系では多発年には十分対応できないと思われる。今後は本病の多発年も想定した防除体系を確立する必要がある。
紋枯病については、今年の発病様相から伝染現となる菌核の量は極端に減っているとは思えない。このため、本年本病に発病が見られた圃場を中心に来年も防除に留意する必要がある。
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