野生生物への影響評価で、農地に住むミミズや昆虫などの生物、用排水路を含む農業用施設の生物は保全対象から外した。「農地では害虫や雑草を退治する目的で農薬をまくので、そこの生物の保全は現実的に難しい」(環境庁土壌農薬課)
欧米でも生態影響で否定的な評価が下された農薬でも、経済的利益から再評価するシステムを採用している。農地や農業用施設は対象外となったことで、使用できる農薬が極端に減る事態は避けられそうだ。しかし、農薬登録の際、野生生物や生態系に悪影響があると判断されれば、登録が保留され、農薬の品質改善の指示が出る。登録後、予想しなかった悪影響が出た農薬も再評価され、農家が使える農薬の種類は少なくなる。当然農薬メーカーの生産コストは上がる。農薬のコストアップについて、農水省は「対象となる野生生物など、評価システムがはっきりしない。どうコストアップに跳ね返るかが焦点」(植物防疫課)と、議論の行方を注目している。評価基準をクリアし、登録される農薬でも、生態系への影響を少なくする観点から、使用方法や使用場所が今まで以上に制限されるのは確実だ。しかも、環境庁は「わが国でも環境保全型農業の機運が盛り上がっており、農地以外へ影響が及ぼさないようにする必要がある」と判断。農水省と連携して、影響の少ない代替剤の使用、新し生息環境の確保などで、危害を極力抑える道を探る。農家にとっては、農薬の適正使用、削減がこれまで以上に求められることになる。環境庁は、3月末までにまとまる同検討会報告を踏まえ、来年度から中央環境審議会で制度改正を含めた議論を行う予定だ。 |