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スピノエース顆粒水和剤の由来

手付かずの自然が残り、地上の楽園といわれるバージン諸島。
そこにあるラム酒工場跡で採取された土壌サンプルから、スピノエースは誕生しました。いっさいの化学的修飾を加えていないスピノエースは、まさに自然が生んだ新しい農薬といえます。
天然物由来のスピノエース
ダウ・アグロサイエンス(本社:米国インディアナポリス市)の科学者が、休暇で訪れたバージン諸島のラム酒工場跡で偶然採取した土壌の中にその菌、サッカロポリスポラ スピノサは含まれていました。一握りの土壌の中には、限りない数の微生物が存在しています。新しい有用菌を発見するのは砂漠の中から一粒の金を発見するのに等しい作業です。本菌も、研究を始めてから農薬として実用化されるまでに実に、17年の歳月を必要としました。高い活性を持ちながら、環境に対して負荷の少ないスピノエースは、まさにバージンの自然が生んだ奇跡といえます。
スピノエースの開発経緯
1982年 バージン諸島ラム酒工場跡地から土壌サンプルを採取
1985年 菌の培養液が蚊の幼虫およびヨトウムシに対して活性を持つことを確認
1988年 活性物質を産出する菌をサッカロポリスポラ スピノサ(Saccharopolyspora spinosa)と同定
1989年 殺虫活性物質の単離に成功
1991年 日本において効果確認試験を開始
1993年 日植防委託試験を開始
1996年 高い効果と十分な安全性が確認され12月18日に農薬登録を申請
農薬として始めて利用されたサッカロポリスポラ スピノサ

ラム酒工場跡地内のラム酒の樽が置かれていた場所。ここで新しい土壌放線菌サッカロポリスポラ スピノサが発見された。
サッカロポリスポラ スピノサ
農薬分野では新しい活性成分の供給源として、従来から様々な微生物が探索されてきました。なかでも放線菌の活用はその代表といえます。しかし、それらはいずれもストレプトミセス属に分類される菌であり、サッカロポリスポラ属の微生物の利用は初めてのことです。
属中の「サッカロ」は砂糖、「ポリスポラ」はたくさんの胞子のことで、サッカロポリスポラとは砂糖に生えたたくさんの胞子を意味しています。また、種名のスピノサはラテン語で「劣った」の意で菌の表面が刺状のもので覆われているような形状をしていることからこのように命名されました。
有効成分「スピノサド」
バージン諸島で発見されたサッカロポリスポラスピノザ。そして、この土壌放線菌が産生する活性成分ガスピノサドです。スピノサドは従来の殺虫剤とは異なる全く新しい作用機作とユニークな特長を持っています。スピノサドはともに高い活性を有する「スピノシンA」と「スピノシンD」の二つの成分から構成されています。いずれもC=炭素、H=水素、O=酸素、N=窒素の4元素のみからなる分子で、太陽光線や微生物の働きによって多様な腐植成分、水、炭酸ガスなどに代謝されます。スピノエースはこのすぴのさドをいっさいの化学的修飾をせず、そのままりようしており、毒性も低く、人畜・環境に対して負荷の少ない殺虫剤です。
スピノサドの殺虫活性
スピノサドの殺虫活性は、昆虫の神経伝達系に関与すると考えられています。この作用機作は従来の殺虫剤とは異なる、全く新しい作用です。
※通常状態
通常、興奮はニューロン接合部(シナプス)でシナプス前膜から分泌されるアセチルコリンによってシナプス後膜へと伝達されていきます。働きを終えたアセチルコリンは酵素(アセチルコリン・エステラーゼ)の働きで速やかに分解され、正常な状態を保ちます。
※スピノエースの作用
スピノエースはシナプス前膜からアセチルコリンが分泌されていない時でも、シナプス後膜へ興奮を伝達します。さらにスピノエースは酵素によって分解されないため、昆虫に異常興奮を引き起こし死に至らしめます。
◆新しい系統のスピノエース
スピノエースの有効成分であるスピノサドは、これまでにない作用機作と高い殺虫活性を持つ化合物です。そのユニークな作用機作から、「スピノシン系」という新しい系統に分類することを提唱しています。
◆ニューロン接合部のアセチルコリン受容体を活性化
スピノサドの作用は、昆虫の神経伝達に関与しています。主としてニューロン接合部のニコチン性アセチルコリン受容体を活性化すると考えられており、昆虫の筋肉に痙攣を引き起こし衰弱させて、最終的に麻酔死させます。
この作用は全く新しく、本剤と同様にニコチン性アセチルコリン受容体の働きに関与していると考えられているクロロニコチニル系薬剤の作用とも異なっていると考えられています。