VA菌根菌

菌根とは、Vesicle(のう状体)やArbuscule(樹脂状体)をつくるカビやキノコの仲間(菌根菌)で、植物につく有用微生物です。
VA菌根菌は植物の根につくと、土壌中に菌糸を伸ばし、リン酸などのミネラルや水分を効率よく吸収して植物に与え、植物からの光合成で生産した糖分を与えられます。
この持ちつ持たれつの関係を共生と呼びます。
本来、健康な植物は根から浸入してくる菌(病原菌)から自衛する手段を持っています。根の表皮を硬くして菌の浸入を防いだり、病原菌が表皮を溶かそうと分泌する酵素を阻害する物質を出したりします。
また、それらを突破して浸入してきた菌を殺す抗生物質を持ったり、それによって新たな抗生物質を作り出したりします。
そんな何層もの強力なバリアを持つ根に入り込む菌根菌は植物と絶対的な共生関係にあります。
リン酸濃度の高い場所では成長が悪く、期待した結果は得られないようです。
本来、菌根菌とは養分が少ない土壌に生息して植物が届かない場所から養分を取り込み、植物に送る働きを特長としてきました。よって、あまりにも肥料分の多い土壌ではその存在の必要性がないのではないでしょうか・・・。
植物にとっての菌根菌は、人間にとっての大腸菌です。
人間は、大腸菌が体内に共生してくれないと、食物を分解できずに消化不良を起こしてしまいます。分解しなくて吸収できるというと、栄養剤の類に頼らざるを得なくなり、健康を維持することもほぼ不可能になります。
菌根菌も、栄養分が少ない土からでも植物が自分自身では十分に取れない栄養素や水を補給してくれる存在です