ユビキタス時代の到来
ユビキタスとは、ラテン語で「いたる所に存在する」という意味の言葉。
ユビキタス自体は、「ユビキタス・コンピューティング」と「ユビキタス・ネットワーク」の両方を示しており、視点の面において異なっている。
ユビキタス・コンピューティングが「身の回りに存在するコンピュータを利用する環境」であるのに対して、ユビキタス・ネットワークは「様々な端末(ゲーム機器・携帯電話・情報家電など)をネットワーク上で常時接続可能な状態に維持する」という意味で使われている。多くの家電メーカーが、旧来白物と呼ばれていた家電製品(冷蔵庫・エアコン・洗濯機など)にインターネット回線を接続し、ひとつの情報家電へと進化させつつある。
ネットワーク社会の展開イメージ
超小型ICチップ(ICタグ)によるユビキタス・ネットワーク化の例
超小型ICチップ[ICタグ(荷札)]の普及促進を図るユビキタスIDセンターは、超小型チップを使って、野菜の生産・流通経路をたどるトレーサビリティ(食品の生産・流通経路の追跡)の実験を、今年の夏ごろから開始すると発表した。
超小型チップを生鮮野菜のパッケージに取り付け、生産、流通経路の各段階でチップに記録し、消費者がスーパーなどで各記録を読み取れるようにする試みで、将来の実用化を目指す。
このチップを通して、生産農家、産地情報、農薬の使用状況をはじめ、その後の流通経路などをホストコンピュータに記録。買物客はデータ読取装置を使って、ホストコンピュータから関連情報を確認する仕組みだ。
ユビキタス社会においては、コンピュータだけではなくすべての商品がユビキタス・ネットワーク上に存在し、商品に関する情報の収集や開示が可能な状況となる。そのため、個人プライバシーの問題が発生する可能性をはらんでいる。互いの情報をもとに双方向的に情報のやり取りができる環境が整いつつあり、かつすべてのモノが情報網の中に組み込まれる時代となる。