農政情報

平成12年度植物防疫事業の実施状況と平成13年度事業

  1. 病害虫防除対策推進にあたっての留意事項(必要とすべき背景)
    1. 農政を取り巻く状況
    2. 植物防疫事業の運営改善に関する検討
    3. 総合的な病害虫管理の推進
    4. 農薬取締法の改正
    5. 農薬を巡る動向
    6. 臭化メチルを巡る動向
    7. 中山間地域対策
    8. その他
  2. 中央省庁等改革に伴う関係法令の整備について(農薬関係)

  1. 病害虫防除対策推進にあたっての留意事項(必要とすべき背景)
    1. 農政を取り巻く状況
      • 農村の過疎化・高齢化の進行、担い手の減少、UR農業合意などにより、農業を取り巻く環境は大きく変化。
      • 食料・農業・農村基本法が施行されるとともに、同朋に基づく食料・農業・農村基本計画、さらには平成12年度以降の5年間に講じようとする具体的な施策を定めた同計画の実施プログラムが策定された。
      • これらの中で、農業が本来もつ自然循環機能の維持増進、農業生産資材の生産および流通の合理化が重要課題の一つとして位置付けられた。
      • 植物防疫事業についても、発生予察・総合的病害虫管理技術の開発・普及、農業生産資材廃棄物のリサイクルシステムの確立・導入などを推進することとされている。
    2. 植物防疫事業の運営改善に関する検討
      • 植物防疫事業を巡る情勢の変化に的確に対応するため、平成10年8月に植物防疫事業の運営改善に関する検討会を設置し、以降6回に渡る検討が行われ、同年12月には病害虫防除対策のあり方などを中心とした植物防疫全般に渡る検討結果が中間とりまとめとして示された。現在、この方向に沿った、より的確かつ環境にも配慮した病害虫防除対策などの具体化に向けて取り組みとして「病害虫防除所のガイドライン」の制定について、最終調整を実施中。
    3. 総合的な病害虫管理の推進
      • 病害虫防除所が行う発生予察は、より重要性の高い病害虫を対象とするとともに、新たな手法を積極的に導入することなどによる一層の精度向上と調査の効率化やよりきめの細かい予察情報の作成、指導、更には生産者自らが防除の要否を判断するための簡易なモニタリング技術などの提供が必要。
      • その際、化学農薬の使用を最小限に抑え、各種防除技術を総合的に組み合わせて許容水準以下に病害虫の発生密度をコントロールする総合的病害虫管理技術(IPM)の確率を図り、提供することが必要。
      • 総合的病害虫管理を推進するにあたり、地域での新たな発生や薬剤抵抗性の獲得など、従来とは異なる発生態様を示す特異的病害虫の防除技術の確立・改良が不可欠。
    4. 農薬取締法の改正
      • 平成10年5月に閣議決定された地方分権推進計画に基づき、
        1. 従前の機関委任事務制度が廃止され地方公共団体の処理する事務が法定受託事務と自治事務とに再構成されたこと、
        2. 自治事務に係る国の関与は、法律またはこれに基づく政令に定めのある場合でなければ行うことが出来ないこと
        とされたこと等から、これに必要な法改正を実施(平成11年12月22日 中央省庁等改革関係法施行法)。
      • 農薬取締については同法に規定規定する防除業への届け出の受理・監督、製造業者、輸入業者、販売業者及び防除業者その他関係農薬使用者に対する立入検査にかかる農林水産大臣の権限の一部を地方農政局長に委任することとなった。
    5. 農薬を巡る動向
      • 残留農薬基準は、2000年までに約200農薬を目途に設定されてきていたが、本年中に15農薬が告示される予定であり、累計で214農薬となる見込み。なお、残留農薬基準は、今後とも順次設定されて行く見込み。
      • 本年中に告示が予定されている15農薬については、農薬安全使用基準を設定する予定であり、今後とも農薬安全使用基準に基づいた適正使用の徹底が必要。
    6. 臭化メチルを巡る動向 (参照 臭化メチル削減計画
      • 平成9年9月に開催された第9回モントリオール議定書締約国会合において、不可欠用途などを除き、平成17年1月1日に全廃することが決定。平成11年から国際的な取り決めによる削減計画がスタートし、翌、平成13年から平成3年度を基準年とした生産量の50%削減が実施される。
      • 代替技術及び大体薬剤の普及状況については、これまで国が都道府県に対して行ったアンケート調査及び「臭化メチル代替技術に関する作物別検討会」(平成12年1月〜2)などの結果から、有効な代替技術がないクりシギゾウムシと土壌伝染性ウイルス病を除いては、技術的対応が可能とされる結果が出されている。この結果を踏まえ、平成13年度から農業生産総合対策事業での補助事業取り組みを有効活用して、県内の推進体制の整備、代替技術の確立などに努めるとともに、代替可能な技術の積極的な定着・普及を迅速に推進する。
    7. 中山間地域対策
      • 地域特産農作物などの病害虫防除体系の確立への取り組みは、引き続き重要な課題である。このためには、各種補助事業などを活用しつつ、有効農薬の検討・登録拡大などによる防除体系の確立に向けた積極的な取り組みが必要である。
      • 鳥獣による農作物被害が顕著であることから、鳥獣行政部局、文化財保護部局などと連携を取りつつ、被害防止技術の導入、その効果の発揮向上のための地域での被害防止活動の推進が不可欠。環境庁における「鳥獣保護法」の改正を踏まえ、生息水準が適正数を越えているものなどで各県の策定による特定計画に基づく固体数管理と併せて、地域的な生息密度の変化に即応し、被害を最小限に留めるための被害防止への取り組みの推進が必要。さらに、被害防止に向けた必要な知識について、住民全般を対象とした啓蒙活動が必要。
    8. その他
      • WTO勧告の実施
        昨年3月のWTO紛争解決機関会合において、りんご生果実などのコドリンガ寄生する植物の輸入解禁に関するわが国の品種別試験要求は、十分な科学的証拠がないとして、「衛生植物検疫措置の適用に関する協定(SPS協定)」に不整合であるため、協定に整合した検疫措置に改めるべきであるとする勧告が採択された。
        わが国は、同勧告に従って、昨年12月末をもって、当該品種別試験要求を廃止することにより勧告を実施した。これに代わるコドリンガの侵入を防止する新たな検疫措置については、日米間で技術的な調整が行われている。
  2. 中央省庁等改革に伴う関係法令の整備について(農薬関係)
    1. 今般、中央省庁等改革関係法施行法により農薬取締法の一部が改正(平成11年12月22日法律第160号)され、農薬取締法に規定する農林水産大臣の権限のうち、
      1. 防除業者の届出の受理(法第11条)
      2. 防除業者に対する監督(法第12条)
      3. 製造業者、輸入業者、販売業者及び防除業者その他の農薬使用者に対する報告徴収・立入検査(法第13条第1項、第3項)
      の事務に係る農林水産大臣の権限の一部が地方農政局長に委任することができることとされたところである。(法第13条の3)
    2. これらのことを受け、農薬取締法施行規則の一部が改正(平成12年9月1日公布)され、所要の規定が設けられたところであるが、防除業者の届出の受理及び監督(@及びA)については、
      1. 地方農政局の管轄区域内にのみ営業所を設けて一般的な防除方法により防除活動を行う防除業者に係る届出の受理及び監督は、地方農政局長に委任することとされた。
      2. 一方、倉庫内、コンテナ内、船倉内、天幕内その他密閉された施設内における農薬によりくん蒸を行う業者(検疫くん蒸業者)については、当該防除に係る技術的水準及び特殊性の観点から、従来より、農林水産大臣が「特定化学物質等作業主任者技能講習および植物検疫くん蒸における危害防止対策要綱」を制定し、本省において一元的に指導・監督が行われていること、
      3. 航空機を利用して農薬の散布を行う業者(航空防除業者)についても、同様に農林水産大臣が「農林水産航空事業促進要綱」を定め、本省において一元的に指導・監督が行われていること
      から、これらの防除業者に係る届出の受理及び監督は、引き続き農林水産大臣が一元的に実施することとされた。
    3. 一方、製造業者、輸入業者、販売業者および防除業者その他の農薬使用者に対する報告徴収・立入検査(B)については、
      1. 販売業者および防除業者その他の農薬使用者に対する報告徴収・立入検査については当該事務の効率性を確保する観点から、これらの事務に係る農林水産大臣の権限については地方農政局長に委任することとされたところである。
      2. 他方、製造業者及び輸入業者に対する報告徴収・立入検査については、販売業者等の場合とは異なり、農薬の登録に係る事務と直接的に関連するものであることから、引き続き農薬の登録を行う農林水産大臣が一元的に実施することとする。
    4. 今般の地方農政局長への委任を受け、「農薬取締法第13条の規定による報告及び検査に関する命令」についても、所要の改正(平成12年8月14日公布)が行われたところである。