栽培の手引き>トマト>トマト黄化萎縮症の発生要因と対策

黄化萎縮症


■発病条件・診断
病原ウイルスは、タバコ巻葉ウイルス(TLCV)で、外国では、たばこ、トマト、とうがらしなどに多発し、大きな被害をもたらしている。日本ではトマト以外の農作物では、タバコ巻葉病の病原として知られている。
汁液伝染、種子伝染はせず、タバココナジラミによって永続的に伝搬される。ナス科、キク科などの植物に感染し、奇主範囲はかなり広い。タバココナジラミは暖地では年4〜5回発生するが、夏秋トマトでは7月中旬から下旬ごろに発生する成虫による伝搬が問題になる。
病徴はまず頂葉が黄化し、その後葉脈と周囲の一部の葉肉部が濃緑化し、脈間の黄化、縮葉などの症状となる。
さらに症状が進むと葉はちりめん状となり、筋間は短縮して萎縮症状を呈する。成育初期に感染すると生育は完全に停止し、また萎縮した腋芽を生ずるため、叢生症状となる。
病勢の進展に伴い、葉緑は葉裏に巻き込み、小葉がボール状になる場合、若い葉がラセン状にねじれ、先端が釣針状になる場合が認められる。羅病株は一般に開花が不良で、蕾のまま落下する場合が多い。また、開花しても不稔となるものが多く、着果するのはまれである。着果しても石果あるいは小果となり、商品価値はなくなる。

■対策
媒介虫であるタバココナジラミの防除と伝染源植物の除去が防除のポイントである。
シルバーリーフコナジラミ(タバココナジラミ)の主な防除薬剤と安全使用基準
薬剤名 使用時期 使用回数 使用量
モスピラン(アセタミプリド)粒剤 定植時 1回 1g/株
ベストガード(ニテンピラム)粒剤 定植時 1回 1〜2g/株
アドマイヤー1(イミダクロプリド)粒剤 定植時 1回 1〜2g/株
アドマイヤー(イミダクロプリド)水和剤 前日 3回(定植後2回) 2,000
ベストガード(ニテンピラム)水溶剤 前日 3回 1,000
モスピラン(アセタミプリド)水溶剤 前日 2回 2,000
サンマイト(ピリダベン)フロアブル 前日 2回 1,000〜1,500
ラノー(ピリプロキシフェン)テープ 栽培期間中 1回 10〜50/10a
注意 ラノーテープは一部の地域では使用できません。)
また山野でしばしば見られるスイカズラは、TLCVとタバココナジラミの共通奇主で、両者の自然越冬奇主になっているので、これの除去には特に留意する必要がある。
(従来、トマト黄化萎縮病はタバココナジラミが媒介するタバコ葉巻病ウイルス(TLCV)によって起こることが知られていたが、侵入害虫であるシルバーリーフコナジラミが日本では発生していなかったTYLCV(tomato yellow leat curl virus)を媒介し、1996年には静岡県で初めて発生が確認された。)